DIVE!!
- 作者: 森絵都,影山徹
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2006/05/26
- メディア: 文庫
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カラフルで森絵都に出会い、永遠の出口 (集英社文庫(日本))で確信し、その後、つきのふね (角川文庫)、アーモンド入りチョコレートのワルツ (角川文庫)と読んだ。で、DIVE!!はかなりおもしろいらしいというのは聞いていたのだけど、ハードカバーで4冊はさすがに手を出すのをためらった。が、文庫化で上下巻にwハードカバーが講談社から出てるのに、なぜに角川文庫から出るのか、そのへんの事情がよくわかんないんですが、とりあえず角川ナイス。
ずば抜けた動体視力を持った知季、海で育った幻の天才ダイバーの孫である飛沫、父母ともオリンピック経験のあるサラブレッド要一。3人達がオリンピックの出場権をかけて争う。話の流れとしては非常に単純明快なスポ根もの。熱いスポーツもののジュブナイル小説といえば、バッテリーだ。が、あれは誰でも知ってる野球だ。DIVEは飛込みというマイナー競技を扱ったところがポイント。読者の大半は飛込みなんてまったく無関係の人で、試合をテレビで見たこともなければそれ自体がオリンピック競技であることすら知らないかもしれない。ましてや、ルールなんてまったくわからない。そんなマイナーな飛込みにもかかわらず、3人が飛び込む瞬間が鮮やかに浮かび上がり、白熱したバトルに夢中になり、引き込まれる。...この感覚には覚えがある。そうだ、ヒカルの碁だ。碁なんてルール全然わかんないし、最後まで読み終わってもやっぱりルールはよくわからない。なのに、読者をひきつけ、白熱したバトルに夢中になる。その感覚に似ている。バッテリーは個人的に少年野球をやってたので、精神論的な内容にはすごく共感し熱くなれるのだけど、DIVEにはそんなものは何もない。なのにこんなに読んでておもしろい。ただただすごいとしかいいようがない。
以下、ネタバレ注意。
ストーリー構成は単純なのに緻密だ。1,2,3部と3人それぞれが成長していく過程が違和感なくナチュラルにつながり、4部のクライマックスに収束していく。一見単純すぎる流れなのに、最後の戦いに最高のテンションで大円団となるように構成されている。
テレビでも飛込み競技を見たことがないのに、鮮やかに浮かび上がる宙を舞う姿はすばらしい描写力。最後のオリンピック選考会は第4部すべてを使って描かれるほどの詳細さにもかかわらずラストの10本目はほとんど具体的な描写はなされず、知季に至っては得点すら示されない。なのに、描写すらされていないのに飛沫がスワンダイブで力強く手を広げた光景が思い浮かぶし、智季がいろいろなしがらみの枠を飛び越え最高の笑顔で舞う姿が思い浮かぶ。まったくもって、恐ろしい。