しばらくMLOps周りを耕そうかと思ってる

世間はコロナは終わったことにして、何事もなかったかのように動き始めた。それに合わせて少しずつ日常が戻ってきた。

2023年もいろんなことがあったが、個人的に精神的に一番ダメージが大きかったのは、8月にHashiCorpのライセンス変更により、TerraformがOSSでなくなってしまったことだ。なんだかんだOSS活動であるというのはアイデンティティであり、自分の中では思っていたよりも重要だったらしい。プロプライエタリなものにボランティアで貢献するというのは説明が難しい。とはいえお仕事でOpenTofuにコミットするほどの必然性もなく、突然道が途切れてしまったような感覚で、これを書きながらも、自分はなんだかんだうまく消化しきれてないんだなと思う。OpenTofuはフルタイムコミッターを雇っているが、もちろん国内にはそんなお仕事はなく、去年も書いたとおり、国内からやるには時差と業務委託の話から先には行けない。そこで道が途切れている。昔は専門性を極めるほどキャリアは広がると思っていたのだが、実際には専門性を極めすぎるとそれを活かせるキャリアというのは狭まっていくんだなということを再確認した。

2023年は世間的にはもちろん猫も杓子もChatGPTの年であった。私が言うまでもなく、一過性のブームではなくあきらかにキャズムを超えた。今のお仕事は構造的にAIに食われていく分野であることや、社内で主席という肩書が付いて色んな人から意見を求められる立場になったことで、AIを専門外として無視することは難しく、少なくとも今の仕事を続けるのであれば向き合っていかざるを得ない状況となった。他の選択肢として、SREの先はPlatform Engineeringなのだが、これも今の会社の規模では過剰で、とはいえメガベンチャーに行ってやりたいかというと、結局は社内政治のような仕事にしかならんよなというのがやる前から見えてしまっており、あんまりPlatform Engineering方面を耕そうという気にはなれなかった。

本当はOSS活動をもうちょっとやりたかったんだろうけど、前述の通りなかなかそれも難しい状況で、消去法的に年の後半はMLOpsを耕すことにした。いきなり生成AIに行かずにMLなのは、生成AI界隈をウォッチしてるとやってみた以上の成果を出しているのは、これまでMLに何年も投資してきた人や会社だし、多少遠回りでも順番にある程度体系化されているMLを先に学んだほうが応用が効きそうという判断である。とはいえデータサイエンティストやMLエンジニアになる気はあんまりなく、SREの知見を活かしやすそうなMLOps周りから攻めるのがよいかなぁと思ってる。データサイエンティストは大学から供給されるが、ソフトウェアエンジニアリングはできないので、実際のシステムに組み込んで運用していく部分は勝手には供給されない空白地帯である。またML関連を勉強し始めてわかったことに、かなり前提知識が必要で、参入障壁が異常に高く、日米の情報格差も大きく、技術力が競争力につながる分野である。あと高い給料をもらうのに、守る仕事よりも付加価値が分かりやすく、会社の方向性にアライメントしやすいというのもある。次の10年何しようと考えたときに、AI/ML関連への投資は続くだろうし、アーキテクチャ的な仕事をするにしても、自分で作ったことがないと勘所がないのは厳しそうというのもある。自分に配られた手札と戦況を見ると妥当な結論というかんじなのだが、まぁこんだけ理由を並べないといけない程度には、まだ自分を納得させられてないというか、純粋なおもしろさをまだ見つけられてないんだろうなと思う。

ただML関連はまったくの専門外で、すぐに成果が出ないのもわかってる。なので、最近は社内では技術顧問のような仕事をするなどして、過去の信用貯金を切り崩しながら、余った時間で新しいことを学ぶというかんじでバランスを取っている。

そんなこんなで年の後半はだいたいPythonを書くなどしていた。個人的にPythonあんまり好きではなかったのだが、どうやらその理由はググって出てくる記事の民度の低さだと気づき、ちゃんと公式ドキュメントやらGitHub Issueなどの一次情報を見に行けば、そこまで毛嫌いするほどでもないかなと和解しつつある。過去の歴史的経緯による微妙な文法は、慣れればまぁそういうもんだと思うようになるだろう。

というわけで、しばらくMLOps周りを耕してるうちにそのうち楽しくなってくるのかなというのに期待しつつ、とりあえずインプット偏重で行こうかなと思ってる。