メモリダンプ

毎年恒例の生存報告のような年賀状のようななにかを書く。

世間はどうやらコロナとの戦いには終わりがないらしいということに気づいて、アフターコロナではなくウィズコロナなどと言いはじめ、なんとなくで対策を緩和し始めた。生きてるだけでエライはずだったのに、どうやらこの状態で何某か前に進まないといけないらしい。人生はつらくきびしい。自分一人ならなんとでもなるが、家族がいるとなかなかリスクが取りづらいのだが。子供ができてからここ数年、時間的、精神的、体力的な余裕のなさで毎年しんどいと書いてるが、どうやら今年もまだピークは折り返していないようで、とりあえず体調を崩さないようにだけ気を付けている。

仕事は相変わらずだが、今年はOSS活動ではかなり無理をしていろんなことをやった。HashiCorpのCore Contributorに選ばれたのはどちらかといえば去年までの成果がようやく認められたという側面が大きいのだけど、目に見える成果としての象徴的なものでうれしい。それと前後して海外のいろんな人から声をかけてもらえるようになった。表向きのOSS活動としてはAWSプロバイダv4のアップグレードツールを書いたことだが、ちょうど本業の忙しい時期と重なってしまい、前半はほぼ睡眠時間を削ってやってたので、なかなかタイムリーに提供できなかったことが悔やまれる。こちらがフルコミットできない状況では、なかなかAWSプロバイダチームの中の人との距離感も掴みづらいかんじで、もっとうまくやれなかったのかなぁというのが正直なところである。あとアップグレードツールの話の日本語の解説記事を書いたら予想通り反応が薄くて、日本のコミュニティ向けに積極的に情報発信するモチベーションも失ってしまい、イベント登壇のお誘いも断ってしまった。ごめんなさい。自分の興味関心事がマニアック過ぎて、まじで日本では需要がなく、時間は有限なのでもうちょっと自分のために時間を使おうと思った。

ちょうどこの頃と前後して、OSS活動を評価してくれたいくつかの海外の会社から声をかけてもらい、そのうち1社のお手伝いをちょっとだけしてたのだけど、そもそも絶対的に時間がない中で、基本睡眠時間を削って短時間かつ英語で設計とかコードレビューをするのは本当にしんどかった。ちょっと無理しすぎて体調を壊した。DeepLとGrammarlyを課金して英語の読み書きのスピードは多少上がったように思う。ただ体力的に相当厳しかったので、あまり長くは続けられなかったのはちょっと申し訳なかった。英語の環境で働くとこんなかんじなんかなというのがわかってよい経験ではあった。

いろんな人から打ち合わせしようぜというお誘いをいただくことも増えてきて、そのたびに、わし英語読み書きはなんとかやってるけどしゃべれないんだわーというのが申し訳なく、オンライン英会話もちょっとだけはじめた。とは言っても基本的に現在の生活サイクルに全然空き時間はないので、仕事の合間を積み上げてなんとか週1回20分捻出するのが限界で、毎日ではなく週1でそんなので上達するはずもないのだが、とりあえず何もしないよりかはマシかぐらいの気持ちで、しばらく低空飛行でやろうとは思ってる。とはいえ、働く上でしゃべれなくても読み書きできれば十分だよと言ってくれるところもいくつかあり、英語がしゃべれる凡人よりも、特殊な専門性を持ってるほうがチャンスはあるんだよなというのも実感した。なのでコーディングテストのための勉強みたいなのは全然やる気が起きないままで、こちらは進捗が無だ。

あと英語は結局スキルなのだが、日本に住んだままグローバルな仕事をするための課題はもっと他にもあり、時差と法律はどうしもないなという思いを強くした。多くのソフトウェア企業はリモートワークを認めていても、USやEUタイムゾーンで働けることが条件になっていることも多く、日本からだと昼夜逆転してしまうので体力的にかなり厳しい。タイムゾーンの指定がなくても、現実的にメールが1日1往復みたいな環境だと、なかなかスピーディーに物事をすすめることはできない。あと日本に現地法人がないと正社員として雇うことが難しく、業務委託契約みたいな形で個人で受けることは可能なのだろうけど、そろそろ家も買わないとなとか思っていることもあり、個人事業主になってフリーランスとかになっちゃうとローン組むのが難しくなっちゃいそうだよなとか、いろいろ思うところはあり悩ましい。日本法人があると言ってもセールスしかないみたいな会社も多く、それなりに大きな会社じゃないとそもそも日本でソフトウェアエンジニアを雇っていないようだし、最近は不況でリストラしまくってるしで普通に日本資本でグローバルなマーケットと戦っている会社の方が現実的なような気もしてる。まぁその場合は給与水準も日本並みになってしまうので、あんまり意味ない説はある。

前半かなりストイックにOSS活動してた反動で、後半はほとんど何もやる気が起きず、ちょっと燃え尽きていた。代わりにもうちょっと家族のために時間を使おうと思って、10数年ぶりにペーパードライバー講習を受けてきて、カーシェアを借りて週末だけたまに車を運転するようになった。都会の移動は大人だけなら車なくても困らないのだが、ちびっこが2人もいるとさすがに厳しいなと思うこともあってなのだが、結果として行動範囲が広くなったのはよかった。まだ恐る恐るなのでそんなに遠いところまでは言ってないのだが、選択肢を増やせたのはよいことだ。とりあえず人にぶつけないようにだけ気をつけている。

あと時間がないからこそ仕事と関係なさそうなことも勉強しないとつまんない人生だなとなりそうなので、年末はWebAssemblyの本とかを読み始めた。何に使うのと言われても正直よくわからん純粋な好奇心なのだけど、最近効率を求めがちだったので、こーゆーのなんの役に立つのかよくわからんものを学ぶのも久しぶりだなという気もしてる。仕事はやんないといけないことと、できることと、やりたいことが一致しなくて久しい。周りから見ると好きなことやってるように見えてるかもだけど、これでも本人はだいぶ気を使っているつもりだ。そもそもWebサービスを作りたいのかと言われてもそれすら怪しく、Webサービスを構成する上の要素技術に興味があるだけで、この界隈にいると無限に新しいおもちゃが出てくるので居心地がよいだけで、Webサービスそのものにはあんまり興味もない気もする。こーゆー生き方をしてると、会社の評価軸と個人のモチベーションが同じ方向を向かなくて悩ましいのだが、そんなん知らんしぐらいの気持ちが必要なんだろうなと思う。

絶対的な時間がない事実は変えられない以上、他者と比較するのはつらいだけだ。というわけで、今年は自分は本当に何に興味を持てるのかをよく観察し、好奇心をもっと大事にしたいなと思うのでした。と雑にまとめる。