リズム

リズム (講談社青い鳥文庫)

リズム (講談社青い鳥文庫)

森絵都のデビュー作「リズム」と、その続編にあたる「ゴールドフィッシュ」を2作を1冊にまとめて文庫化。ロックを志すいとこの真ちゃんを慕う中学生のさゆきが自分らしさとは何かを模索する。

青い鳥文庫なので、サイズ的には新書サイズなんだけど。普通の講談社文庫ではなく、児童書レーベルである青い鳥文庫になったのはかなり重要な意味があると思う。森絵都作品は小学校高学年から中高生の女の子を対象とした、いわゆるYA文学と呼ばれる作品が多く、このリズムもそれに含まれる。YAとは言っても、ジャンルのくくりであって、実際には大人の読者が多いのも事実。それをあえて青い鳥文庫から出したというのは、この作品を子供の手の取りやすいところに置いて大切な1冊にして欲しいという思いが感じられる。

読んでて思ったのは、なんだか周りの人が自分勝手なことを言って、やたらと無理を抱え込んでしまうことがある。自分が本当は何をしたかったのかを見失う。まぁ最近はそんな追い込まれてなくて平和な生活を送ってるんやけど、まぁ過去にそんな時期はあったと思う。苦労を背負い込む性格もあるやろうけど、みんなも少なからずそーゆーのはあると思う。
そんなとき、自分だけのリズムを心の中で刻んで持ち続ければ、まわりがなんと言おうが、自分だけのリズムを取り戻せそうな気がする。崩れたバランスを取り戻して、もう一度自分を取り戻せる。そのリズムっていうのは作中では直接的に音としてのリズムやったけど、音楽に限らず、自分の好きな漫画でもいいし、映画でもいいし、なんでもいいんだと思う。自分の原点を表す、心の真ん中にあるような大好きなものであれば。そんなことを思うのでした。