夜は短し歩けよ乙女

夜は短し歩けよ乙女

夜は短し歩けよ乙女

京都の町並みを舞台に繰り広げられる、どこかズレてる天然おっとり娘と妄想男子による非日常な日常ふしぎ系小説。本屋大賞ノミネート作。この作品がどんな作品であるかを説明するにはあまりにも難しい。ストーリーや登場人物がとにかく変なのばっかりなので説明しようと言葉にしたとたんに別のものになってしまうようで、とにかく読めとしか言いようがない。春樹小説的な混沌が好きな人にはよいと思うが、逆に不思議現象にいちいち説明を付けなければ気がすまないミステリ好きやSF好きには向かないかもしれない。クセがありまくりの独特の文体を楽しむ小説であり、わざとらしいご都合主義を笑顔で受け入れるだけの余裕が必要。それが万人ウケするかは疑問だけれども、それでもみんなが知らないおもしろ本を発掘するという意義においてこれほど本屋大賞にぴったりな作品はないのではないだろうかと思うのでした。