ホワイトカラーは給料ドロボーか?

ホワイトカラーは給料ドロボーか? (光文社新書)

ホワイトカラーは給料ドロボーか? (光文社新書)

残業代ゼロ法案やら家族団らん法案やら言われているホワイトカラーエグゼンプション。導入段階では給与水準が高い人を対象にしてるってことで、ホワイトカラー=白人=お金持ちってイメージがあったんだけど、このホワイトカラーって言葉は、工場で作業服を着て働く人=ブルーワーカーに対して、白いワイシャツを着てオフィスで働く人を指しており、別に給料の高い低いとか関係なく管理職だけじゃなくて一般事務職なんかも含む言葉。

本書の前半では一般的に低いとされる日本のホワイトカラーの生産性が本当に低いのか統計データに難癖をつけるというような内容で、日本のお国柄を考慮してあれこれデータを操作するとそんなに低くないよ?ということなんだけど、他国のお国柄を考慮せずに日本の都合のいいところだけを見ているので危険な推論に注意。

その後日本にホワイトカラーエグゼンプションを導入するとどうなるか?という話で、結局優秀な人は益々仕事が増えて残業し、凡人は楽する。しかし給与は相対的な大小関係でそれほど大きな差にならないという話。

で、結論としてこのシステムがうまく機能するためには雇用の流動化が必要だと。つまり、その金額で納得いかんなら別の会社に行けばよいし、会社として貴重な人材を手放したくなければ、もっと給料を上げればよい。逆に不当に高い給料をもらっている人はアウトプットを出せなければ首を切られるし、転職先がなかなか決まらなければ条件を下げざるを得ない。市場の価格決定メカニズムそのままなわけだが、そうするとスキルのある人とない人で格差がどんどん開く一方になり、個人消費が冷え込んで経済全体が縮小するのでスキルアップの補助制度もきちんと整備することが大事よーという話。