若者はなぜ3年で辞めるのか?&3年で辞めた若者はどこへ行ったのか

若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来 (光文社新書)

若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来 (光文社新書)

就職してすぐやめる若者が多いのは忍耐力が足りないとか、わがままでいつまでも自分探ししてるとか言われます。フリーターとか派遣などワーキングプアの問題とセットでよく聞く話ですが、諸悪の根源は年功序列であるというのが本書の主張。年功序列というメカニズムは基本的に年齢が上がると役職が上がって、給料も上がるという仕組みだけれども、会社自体が拡大成長を続けない限り、全員にポストを与えるということなんかそもそもできないわけで。結局、わけのわからない肩書の役職が増えたり、子会社のポストに天下りしたりでこの構造を維持している。若者は年長者よりも馬鹿みたいに安い給料で働くけれども、それはいずれ自分が出世して報われるという暗黙の了解があった。高度成長の時代はそれでもよかったかもしれないけれども、経済成長に陰りが見え出すと、上が詰まってくるので出世ができない→給料が上がらない→どんだけ働いても報われないという構造になるわけで、先輩を見れば10年後の自分が簡単に想像できて働く気も失せて当然→やめる→再就職は年功序列でけっこうしんどいというのが現状。外資系の職能給な職場なら別だが。そもそも年功序列社会で再就職が難しいのは、年齢を基準に給料払うのに、むだに年食った人を採りたくないという企業側の都合で、だからやたらと新卒を採りたがるという傾向に。年齢ではなく仕事の能力に合わせた給与体系に改めればすべて解決なんだけど、そうゆう重要な決定ができる上の人は、わざわざ自分の取り分を減らすようなことはしないというのは至極まっとうな反応でありなかなか難しかったり。労使交渉でベア何円アップとか言うてるけど、対立軸は労使ではなく、世代間にこそあるんだと。中高年をリストラすると労働組合がうるさいからと、派遣社員で人件費削ったり、若者の給料を年齢を理由に抑圧したりして利益を確保し年功序列をなんとか維持しようとしている。メディアもワーキングプア格差社会だなんだと騒ぐけれども、世代間の格差は指摘しない。労働組合と経営者が議論しても何も変わらないし、メディアが政治を批判しても変わらない。声が大きい人はみんな既得権益者ばっかりだからだ。本当に必要なことは能力に対して給料を払うというシンプルなことで、外資系では当たり前のようになされてることがなんで日本型企業ではできないんだーという話。