ハーモニー

ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)

ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)

伊藤計劃その2。というか最後の作品。人類の文明が進歩していつかあらゆる病気に打ち勝つことができたとして、その理想郷はおそらく息苦しかろうという、内容的には管理社会なんてクソくらえという書き方なんやけど、病床でこれを書き上げた作者の境遇を知った上で読むと、また考えさせられる。出だしがまた取っ付きにくい感じやけど、みんなが集団自殺を図るあたりから俄然面白くなってくる。人類が行くところまで行くと、意識なんてものすら必要なくなるというのは恐ろしい発想やけれども、あらゆる判断が自明であれば、意識なんてほんとにいらんのかもね。