重力ピエロ

重力ピエロ (新潮文庫)

重力ピエロ (新潮文庫)

連続放火事件と火事を予告するグラフィティアート(落書き)。その謎に隠された真実とは。
謎解き自体はけっこう露骨に伏線が張られて簡単すぎ、オチが途中で読めてしまう。こないだ読んだ「アヒルと鴨の〜」みたいな予想もしないような逆転ホームランもなく、ミステリとしては今ひとつ。でも、主人公泉水の弟である春がすごく魅力的な人物で、たびたび引用するガンジーの話や過去の偉人の話が読者に様々なメッセージを訴えかける。むしろこっちがメインで、ミステリ風の主線はそのセリフを言いたいがタメに作られたお話じゃないかという気がしないでもない。世間的にはこの作品で直木賞候補になった作品ではあるけど、個人的な評価は悪くはないけどそれほどよくもないぐらい。