99%の誘拐

99%の誘拐 (講談社文庫)

99%の誘拐 (講談社文庫)

すべての犯行がコンピュータで制御された誘拐劇。
前に読んだクラインの壺がおもしろかったので、岡嶋二人をもう1冊読んでみたんだが、なかなかよかった。最後のトリックが読者に推測不可能な点で、ミステリとは言い難いんだけれども、冒頭からラストまで緊張感が切れない展開で、続きが気になるノンストップアクションものとしてはよい出来。インターネットがなくパソコン通信の時代に、全部をコンピュータ制御しようとした作者の発想はなかなかおもしろかったのだけど、技術的な面から言うと、超音波を出す笛での制御に無理やり感があるのは否めない。電話は可聴範囲よりもさらに狭いバンド幅で帯域節約してるのに、電話越しで超音波制御は無理じゃね?という突っ込みは必至。文庫版解説では、技術的に不可能なのはミステリ作家の良識とかなんとかゆってるが、そんな苦しい言い訳よりも、読んでおもしろいからいいんじゃね?ぐらいゆってくれた方がよいんじゃないかと。