冷たい校舎の時は止まる

冷たい校舎の時は止まる(上) (講談社文庫)

冷たい校舎の時は止まる(上) (講談社文庫)

冷たい校舎の時は止まる(下) (講談社文庫)

冷たい校舎の時は止まる(下) (講談社文庫)

前々から気になってた辻村深月を読んだ。物語の始まりは、雪が降り続けて学校に閉じ込められて十五少年漂流記的なお話になるのかと思いきや、どうやらそうでもないらしく、2か月前に自殺した同級生の名前が思い出せない...この中の誰か一人既に死んでる。自殺したのは誰?とミステリ?かと思わせつつ、なんだかんだでホラーものです。どんな説明だとツッコミを入れられそうですが、そんなお話。
誰が死んでいるのかそれぞれがお互いを疑い、それぞれの視点で語られるストーリを読み進めるうちに、みんな何かしら人には心を開いていない暗い部分があったりして、みんなに動機はなくはない。そんな中、一人ずつ襲われて姿を消していき、で、結局誰なの?と気にさせる筆力は見事としか言いようがないんだけれども、精神世界だからなんでもありというルールがあるせいで、状況証拠からの推論らしきものがすべて成り立たず、私個人としては、誰?という推論を途中から投げ出してしまいました。んー、そういうミステリ的な伏線ももっと大事にして欲しかったかなぁ。