ウェブ人間論

ウェブ人間論 (新潮新書)

ウェブ人間論 (新潮新書)

とりあえずいきなり経済学とか政治の本に手を出すには敷居が高すぎるので、気になってたウェブ進化論の続編(?)的なところから読んでみようかと。ウェブ進化論梅田望夫氏と、芥川賞作家の平野啓一郎氏がウェブが進化すると人間はどのように変わっていくのだろうか?というテーマについて語り合った。
まずはじめに、Googleはただの検索エンジンという認識程度の前提知識で読むと意味がわからないので、ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)を読んでないならこちらを先に読むことをオススメします。
二人の対談という形式をとっているのだけど、平野氏はウェブ進化論を読んですごく感動し、これからのウェブの急速な進化が私達のライフスタイルを大きく変容し、それが人間に与える影響を悲観している。ウェブ進化論で衝撃を受けた多くの読者はおそらくこの立場であり、ウェブの無限の可能性を夢見ながらあまりの急速な変化に本能的な恐怖のようなものを漠然と感じている。ネットがなかった前はどーやってコミュニケーションしていたのか思い出せないというのは確かに考えれば恐ろしい。読んでるとなんだか読者を代表して梅田氏に質問しているようにも感じる。

対称的に梅田氏は楽観論を展開する。将来のウェブ技術の発展の実用可能性という視点を持っている専門家として、みんなが思っているほどそんなに急速に現実世界が全部ウェブの波に飲み込まれてしまうなんてことはなく、現実世界はそんなにすぐには変わらないという立場をとる。リアル社会はリアル社会として存在し、私達はリアル社会を生きながら、それとは別に新しくウェブ社会を生きる。「たかがネット」という表現が印象的だ。ただリアル社会を生きづらい人々が、住みやすいウェブ社会で自由に生きることには肯定的で、リアルで満足してるなら必要ないけど、リアルで生きにくいならウェブで理解できる人々だけで固まって生きていくのも悪くないんじゃね?というかんじ。出版されたのは去年の12月だけど、最近流行のセカンドライフを彷彿とさせるような考え方だなぁと思うのでした。島宇宙とかゆってるから意識してるのかもしれないけど、セカンドライフという固有名詞は出てこないから、基本的な思想が同じだけどこの時点では特に意識してたわけではないのかなぁ。