春季限定いちごタルト事件

春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)

小鳩君と小佐内さんは、恋愛関係にも依存関係にもないが互恵関係にある高校一年生。きょうも二人は手に手を取って清く慎ましい小市民を目指す。コミカル探偵物語。
もう作品紹介の時点でセンスが溢れまくってますが、帯に「そしていつか掴むんだ、あの小市民の星を。」って書いてあって、もう読む前から笑ってしまいました。いちおージャンルはミステリということになってますが、ミステリというのにはかなり語弊があるんじゃないかと。人が死んだりはしません。なくなったポシェットの謎、2枚の絵の謎、ココアの入れ方、試験中に割れたビンの謎など、日常過ぎる小粒な謎を解き明かします。うーん、例えるなら人が死なない「Q.E.D. 証明終了」みたいなかんじだなーと思ってたら、まったく同じことが解説に書いてありましたｗ余談ですが、解説が極楽トンボというのを見て、芸能人の方だと思いましたｗなんでこんなところにヽ(;´･ω･)ﾉ？．．．と思ったら、芸能人の方ではなくてまいじゃー推進委員会！の管理人様だったとは。いやはや。

とにかく小市民を目指す二人の掛け合いがおもしろい。甘いものが大好きで、大人しくかわいいふりしつつも本当は．．．という小佐内さんのキャラが素敵すぎ。ミステリ部分というか推理部分は多少無理がある気がしますが。特に、最後の事件とか論理が飛躍しすぎで、先に結論があって、それに無理やりこじつけた感が推理としてはいかがなものかと。ミステリというより、まいじゃーさんとこが推すように、ラノベ層ウケしそう。

東京創元推理文庫というややマイナーレーベルなので、小さい本屋では棚で常備在庫は持ってないかもしんないですが、それが残念なところ。埋もれるのはもったいない傑作。