思考の補助線

思考の補助線 (ちくま新書)

思考の補助線 (ちくま新書)

脳科学者の茂木さんの本です。なかなか日本語が難解でとっつきにくいので、読む場合は心して読んだ方がよいと思います。脳の仕組みというのはまだよくわかってないことだらけなわけです。感情というのは非常に曖昧なもんなんだけど、これも脳内の神経やらが反応し合って起こる物理現象なわけで、なんらかのまだ解明されていない厳密な因果関係によって引き起こされてるわけだから、感情があいまいというのはむしろ驚くべきことだと。なんらかの法則に従って反応してるんだから、厳密に説明できるはずで、じゃあこの感情のあいまいさとはどうゆうことなんだというのがメインのお話。
でも個人的に興味深いのは3章にでてくる無限の話。無限という概念は考え出すとなかなかおもしろくて、ものすごーく大きな数を想像してみても、その+1大きな数というのを考えることができる。この可能性こそが無限の本質なんだと。
で、ここから私見なわけですが、最近いろいろなところでよく考えることがひとつあって、自分の生命の有限性を考えると、無限にも思えるものがたくさんありすぎて困る。地球上には60億ぐらい人がいて、日本だけでも1億3000万とかすんごいたくさんの人がいる。この場合人口はもちろん有限なんだけど、その中で自分自身がかかわることができる人の数なんて如何に少ないか、実際に話したりして友達になることができる人の数なんてもっと少ない。そう考えると60億も1憶もあんま変わんないという意味においては実質無限といってもよいかもしんない。この無限の可能性を考えて、実際の現実を直視すると、なんかすんごくもったいない気がする。たとえば、本屋に行くと膨大な数の本が置いてある。もしここにある本全部読めたらどれだけ賢くなれるかと思うのだけど、実際そんなことは物理的に不可能なわけで、そのことがすごく残念で仕方がない。思うに、生きるということは、未来に向かって無限の可能性が広がっていくというイメージではなくて、膨大な数の可能性を限定していく作業なんじゃなかろうかと。社会人になってからテレビはめっきりみなくなったわけですが、何をとるかに目が行きがちだけど、何を捨てるかの方をもっとよく考えた方がよいのかもしんないとか思う今日この頃。古いものを捨てなければ、新しいものは入らないとかゆったのは誰だったけかなぁ。まさにそんなかんじのことを近頃よく思うのでした。